インプラントの寿命ってどのくらいなの?

2023.11.30

現在の歯科医療では、自分の歯を失った際、代わりの歯を入れる治療法は主に3種類の選択肢を挙げることができます。

 

  1. 入れ歯(デンチャー)
  2. ブリッジ
  3. インプラント

 

使い心地、審美性、両隣の歯への負担などを考えると、やはり歯科医としてインプラントをおすすめします。

しかし、「簡単に決められる金額じゃないし…」とお悩みの方も多くいらっしゃいます。患者様の口内環境にもよりますが、インプラントは1本あたり30万円から50万円が相場と言われています。では、それだけ思い切った金額を支払って、インプラントの寿命というのはどれくらいなのでしょうか。

 

まず、インプラントは入れ歯やブリッジと比較すると、かなり長期間使用できると言われています。平均寿命で言えば10年から15年ですが、中には20年、35年、「半永久的」と言ってもいいほど問題なく使用できるケースもあります

患者様の歯茎の状態などでインプラント寿命は人それぞれとなりますが、まずはインプラント手術を終えて10年が経過したら、特に不具合を感じていなくても、歯科医院でインプラントの状態を診てもらうことをおすすめします。インプラントをできるだけ長持ちさせるにはいくつかのポイントもありますので、のちほどお伝えしていきます。

インプラントの不具合いろいろ

では、「インプラントに不具合が出てきた」というのは、一体どのような状態をさすのでしょうか。どんな箇所に、どんな不具合が出る可能性が考えられるのでしょうか。

 

最初に、インプラントの構造について簡単にご説明いたします。「インプラント」とは、歯根に当たるインプラント体、その上の結合部であるアバットメント、一番上の人工歯部分である上部構造に分けられます。

インプラント構造体

インプラントに不具合が起きたときの状況としては、下記のようなものが挙げられます。

 

  1. インプラント体が折れる・グラつく
  2. アバットメント(連結部分)が折れる
  3. 人工歯が破損する

 

1.インプラント体が折れる・グラつく

顎の骨と結合しているインプラント体が破損してしまうと、かなり大きな処置が必要になってきます。インプラント体は顎の骨と結合しているので、顎の骨も含めてインプラント体を撤去しなくてはなりません。当院ではできるだけ周囲の骨を削り取らずにインプラント体だけを取り出せるよう、施術をしていきます。

2.アバットメント(連結部分)が折れる

アバットメントも長年のダメージの蓄積によって、折れてしまうことがあります。インプラント体の中に入っている部分のアバットメントの一部をしっかり取り除くことができれば、インプラント体に傷を与えることなく、アバットメントのみの交換で修理することができます。

もしインプラント体に残留したアバットメントが取り出せない場合は、インプラント体も含めて撤去し、再びインプラントを埋入する処置になることもあります。

3.人工歯が破損する

人工歯となる部分には、患者様のご予算やご要望に合わせていろいろな材質をお選びいただけます。天然歯とほとんど変わらない見た目であるセラミックを選択される方が多くいらっしゃいますが、強度の面では少し注意が必要な素材です。強い力がかかる箇所では、欠けたり割れたりすることもあります。その場合は新しく人工歯をかぶせる処置になります。

奥歯は「固いものを噛んでしまった」という原因以外にも、歯ぎしりや食いしばりなどの癖も大きく関わってきます。そのような癖を持つ方は歯のすり減り方などで医師のほうでも確認できますので、マウスピースなどを使って歯への負担を軽減します。

 

ちなみに、セラミックの弱点である強度を補える素材として近年よく使用されているのが、ジルコニアという素材です。ジルコニアも含めて様々な素材の人工歯のご用意がありますので、ご予算などによってお選びいただけます。

インプラントに不具合が出た際の対応

人工歯部分が欠けたり、インプラント全体にグラつきなどが感じられた場合は、まずはすぐに歯科医までご相談ください。その際に、もしインプラント部品が取れてしまったなどのことがあれば、その部品も一緒にお持ちください。

 

インプラントにもいろいろなメーカーがありますので、不具合が出た場合はできればインプラント手術を受けたクリニックにご相談することをおすすめします。インプラント体にはダメージがなく、連結部分であるアバットメントの交換のみで済むような治療でも、そのメーカーの取り扱いがないクリニックに行ってしまうと、部品を取り寄せたりなどの時間・手間がかかってしまうことがあります。その際に患者様ご自身でも「メーカーは〇〇です」とお伝えしていただけるよう、埋入したインプラントのメーカー名を把握しておくことも大切です。

どのようなことに気をつければインプラントを長く綺麗に使えるの?

インプラントを長持ちさせるには、この3点が非常に大きなポイントになります。

 

 

  • インプラント周囲炎にならない
  • 定期的に適切なメンテナンスを受ける
  • 歯に大きな負荷をかけないようにする

 

 

まず最も大切なことは、歯周病の予防です。かぶせてある人工歯自体はもちろん虫歯になることはありませんが、インプラントを埋めてある歯茎は病気になることがあります。歯周病とは怖い病気で、一旦発症してしまうと自然治癒することのない病気です。特にインプラントを埋めた部分の歯茎は周囲の血管と繋がっていないため、歯周病菌などの細菌に弱いという側面があります。

 

歯周病菌などの細菌に感染し、歯茎が腫れたり痩せたりすることを「インプラント周囲炎」と言います。また、天然歯が生えている箇所の歯茎と比べて、インプラント周囲炎は初期症状に気付きにくいという難点もあります。インプラント周囲炎に気付かずそのまま放置すると、顎の骨まで溶けてしまってインプラントが抜けてしまうことにも繋がります。

 

それらの細菌の感染を防ぐには、インプラントの人工歯も他の天然歯と同じように、まずは丁寧な歯磨きが第一です。クリニックで正しい歯磨きをしっかり練習して、歯石・歯垢を綺麗に取り除いて口内環境を清潔に保つことがインプラント周囲炎を防ぐために最も大切なことです。

 

また、お口全体の状態も、加齢とともに歯の位置や歯茎の状態など、少しずつ変化をしていきます。インプラント手術を受けたときは噛み合わせがピッタリ定まっていたとしても、数年、数十年で噛み合わせも変化していきます。このような口内環境の変化に合わせたインプラントの微調整なども、インプラントを長持ちさせる上で非常に重要です。

インプラントに特に不具合を感じていなくても、定期的に、継続的にクリニックで検診を受けていきましょう。

インプラント治療後のアフターケアはすべて無償で行っています

本町通りデンタルクリニックでは、当院でインプラント手術を行った患者さんへのアフターケアにも積極的に取り組んでいます。上記でお伝えしたどのような術後トラブルでも、無期限・無償にて永久保証となります。

せっかく思い切って手術を決めたインプラントを、できるだけ長く快適にお使いいただきたいという気持ちをもって治療を行っておりますので、当院でインプラント手術を受けられた患者様はどうぞお気軽に定期メンテナンスにお越しください。

※永久保証の条件である定期検診には、別途費用が発生いたします。

インプラントの寿命まとめ

インプラントを10年間以上使用し続ければ、多少はすり減ったり、弱くなっていくものです。そして不具合のあるインプラントを無理に使い続ければ、他の歯や歯茎の状態が悪化していきます。そうならないために、こまめな定期検診を続けていくことがとても大切です。

インプラントは基本的に20年、30年と使うことができるものですが、そのためには自分でしっかり歯磨きをすること、インプラントに大きな力がかからないように気を付けること、定期的にクリニックに通ってメンテナンスしてもらうことが条件となっています。つまり、アフターケアをしっかり行えるかどうかが、インプラントの寿命を左右すると言えます。

 

近年は、インプラントの技術や材質が向上しているため、インプラントの寿命も延びています。せっかく大きな手術をして、決して安くない自費診療を行う決心をされた患者様に、少しでも長く、快適に、好きなものを思いきり食べたり、ご家族やお友達と思い切り笑って楽しく過ごしていただきたい。そんな気持ちで私たちはインプラント手術を行っています。

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